漫画・鬼滅の刃の人気キャラ・善逸(ぜんいつ)のセリフで有名になった「まろび出る」という言葉。
アニメ(第一期)でもすでに出てきましたね。
「心臓がまろび出るかと思った」というセリフです。
>「まろび出る」とは?意味や漢字、語源を調査|鬼滅の刃の何話のセリフ?
実は、他のキャラも同じような言い回しを使っています。
十二鬼月・上弦の鬼のナンバーワンである上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)です。
原作漫画の、無限城での最終決戦での、
黒死牟と、柱を含む鬼殺隊員たちとの戦いでのことです。
そのときの黒死牟のセリフと善逸の場合との違いをみていきましょう!
黒死牟のセリフは「臓物がまろび出ずる」
善逸の名(?)言に含まれたフレーズは、「心臓がまろび出る」でした。
一方、黒死牟が言っていたのは、「臓物がまろび出ずる」です。
少し違いますね。
「まろび出る」ではなく「まろび出ずる」
黒死牟のセリフの中で使われていたのは、「まろび出ずる」。
「まろび出る」と似ていますが、「出る」と「出ずる」の違いがありますね。
「出ずる」は、聖徳太子が「日出ずる国の王子がー」と
使っていたりしますね。
「出ずる」は「出る」という言葉の古語です。
「鬼滅」のストーリーの舞台は日本の大正時代がメインですが、
黒死牟が人間として生きたのは戦国時代でした。
ちなみに鬼になる前の本名は継国巖勝(つぎくにみちかつ)です。
善逸に比べて昔の人なので、言葉遣いも古いのかも知れませんね。
だから、「まろび出る」ではなく「まろび出ずる」という言葉を使ったのでしょう。
*正確には、昔の旧仮名づかいで「出づる」なのかも知れませんが、
「鬼滅の刃」は現代の読者が読む漫画なので、「出ずる」という現代風の仮名づかいで表記されています。
大正時代当時は、どちらの表記だったのでしょうね・・・?
一応、説明しておくと、まろび出るが「転ぶ(まろぶ)+出る」なのに対し、
まろび出づるは「転ぶ(まろぶ)+出ずる」というような語の成り立ちのはずです。
誰のどの臓物が転び出かけた?
「まろび出る」「まろび出ずる」どちらにしても、
意味合いとしては、「転がり出る」です。
では、上弦の壱・黒死牟は、誰の、どの、臓物がまろび出ると言っていたのでしょうか?
善逸の場合は、正確には、「心臓が口からまろび出るかと思った」
というセリフで、鬼が近くにる状況で、いきなり話しかけられたときの驚きを、
コミカルに表現したのでした。
黒死牟の場合は、すでにとっくに戦闘開始していて、
シリアスな場面で、しかも真面目で堅い性格の黒死牟が発したセリフなので、
似たような言葉・言い回しであっても、対照的な使われ方でした。
善逸はギャグキャラな一面もありますので、
彼が言ったように心臓が口から転がり出る、というのは、実際には物理的にあり得ないです。
一方、黒死牟は性格的に冗談を言うはずはなく、事実、
あのときは、本当に臓物が出てきてもおかしくない状況でした。
では、誰の、どの、臓物だったのか?
「誰の?」、の答えは、風柱の不死川実弥(しなずがわさねみ)です。
黒死牟は人間時代は剣士で、鬼になってからも刀で戦います。
不死川さんは、その斬撃をくらってしまったのでした。
では「どの臓物が?」出かけたかというと、
少し難しいですね。
「動けば臓物がまろび出ずる」とのセリフが出たときの不死川実弥は、
上半身全体が大量に出血していました。
ただ、斬られたのがどこかはわかりにくいのですが、
かけつけた岩柱・悲鳴嶼さんの「腹の傷は今すぐ縫え」との言葉から、
腹部だとわかります。
なので、まろび出かけた臓物というのは、腸(はらわた)ということになるかと思います。
実弥は斬られた後も、呼吸術によって血液を固めた上に、筋肉によって臓物をおさえながら戦いを続けました。
そして、悲鳴嶼さんの到着が間に合ったこともあって、
結局、臓物はまろび出ることなく、不死川は最終決戦での強敵との戦いを続け、戦い抜いたのでした。
まとめ
鬼滅の刃の名言(?)に使われる「まろび出る」。
黒死牟版のまろび出るのセリフについて、
考察や解説をしてみました。
善逸(ぜんいつ)の場合との違いや対比についてや、
黒死牟のセリフの前後の状況説明によって、
無限城での激闘の様子を思い出し/感じとっていただけたでしょうか?
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