AI共同編集日誌 #2 AI記事はどこまで信用できる?──ファクトチェックという、もう一つの編集会議

前回の記事では、AIと一緒に記事を書こうとすると、編集会議の多くが「検索意図」を考える時間になっていたことを書きました。

しかし、検索意図が決まっても、すぐに記事を公開できるわけではありません。

私たちが次に直面した課題は、ファクトチェックでした。

AIは文章を書くことができます。

では、その内容はそのまま公開してよいのでしょうか。

この問いは、AIで記事を作る人なら、いずれ必ず向き合うことになると思います。


AIは「もっともらしい文章」を書く

最近の生成AIは、本当に自然な文章を書きます。

構成も整っていますし、要点も分かりやすくまとめてくれます。

だからこそ、AIが書いた文章を読んでいると、

「この内容もきっと正しいのだろう」

と思ってしまうことがあります。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。

読みやすい文章と、正しい情報は別です。


私たちが止まったのは、「AIが間違えた」からではありません

現在制作中の『雪の女王』の記事では、AIがさまざまな切り口や関連テーマを提案してくれました。

その中には、「宮崎駿作品との共通点」のように興味深いアイデアもありました。

しかし、それを記事に書くには、本当に根拠があるのかを確認する必要があります。

実際、そのような提案については、「ここは確認が必要」と判断し、保留にしました。

また、作品のテーマをさらに深掘りする提案もありました。

けれども、それは原作を十分に読み込み、作品そのものを議論した上で初めて扱える内容です。

今回は、そこまでの確認ができていなかったため採用を見送りました。

私たちが感じたのは、AIが間違えたということではありません。

確認が必要な領域は、自動化できない。

それが、実際に編集を進める中で見えてきた課題でした。


AIはWebを参照できても、それだけでは足りない

最近のAIは、外部の情報を参照できる場面も増えています。

しかし、その多くはオンラインで公開されている情報です。

一方で、私たちが扱おうとしているテーマには、

  • 書籍
  • 古典文学
  • 心理学の理論
  • 専門書

など、Webだけでは確認できない情報も数多くあります。

こうした記事では、人間が資料を確認しながら編集を進める必要があります。

AIは文章を書くことはできます。

しかし、「その本には本当にそう書かれているのか」までは、人間が確認しなければなりません。


ファクトチェックは、書籍だけではありません

今回、もう一つ印象的だったことがあります。

それは、この「AI共同編集日誌」の制作そのものです。

編集会議の内容を記事にまとめる中で、AIは何度か、まだ編集部で決まっていないことを「決定事項」のように文章へ補完してしまいました。

また、実際には行っていない運用を、「私たちの経験」として書いてしまう場面もありました。

もちろん、悪意があったわけではありません。

文章として自然につながるよう補完した結果です。

しかし、このシリーズは「実際に編集部で起きたこと」を記録する日誌です。

そのため、外部の事実だけでなく、「この編集部で本当に起きたこと」も、一つひとつ確認する必要がありました。

私たちにとっては、この種類のファクトチェックの方が、むしろ重要だったのです。


正確な記事ほど、自動化は難しくなる

AIを導入すれば、記事制作はもっと速くなると思っていました。

実際、文章を書く時間は大きく短縮されています。

しかし、正確性を重視する記事では、確認作業はほとんど短縮されません。

むしろ、

  • 書籍を確認する。
  • 出典を確認する。
  • 編集会議で実際に決まった内容を確認する。

こうした工程が増えるほど、自動化だけでは対応できなくなります。

記事の正確性を高めようとするほど、人間による確認作業の比重も大きくなる。

これは、AI共同編集部が実際に体験したことでした。


AI共同編集部メモ

今回の編集会議では、ファクトチェックが単なる確認作業ではなく、AI時代の記事制作における大きな課題であることを共有しました。

特に、書籍や理論を扱う記事、そして実体験をもとにした記事では、人間による確認作業を省略することはできません。

また、「AIが間違えるかどうか」だけではなく、「確認が必要な内容は自動化できない」という視点を持つことが重要だという認識で一致しました。


おわりに

AIで記事を書くことは、思っていたより簡単でした。

難しかったのは、「どこまでAIに任せられるか」を見極めることでした。

私たちは今、その境界線を探しながら、少しずつ編集フローを改善しています。

自動化を諦めるのではありません。

役割分担を設計することで、自動化率そのものを高めていく。

それが、AI共同編集部の現在の方針です。

次回は、ここまでの編集会議を通して見えてきた「AIと人間、それぞれが得意な仕事」について考えてみたいと思います。

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