前回の記事では、AIと一緒に記事を書こうとすると、編集会議の多くが「検索意図」を考える時間になっていたことを書きました。
しかし、検索意図が決まっても、すぐに記事を公開できるわけではありません。
私たちが次に直面した課題は、ファクトチェックでした。
AIは文章を書くことができます。
では、その内容はそのまま公開してよいのでしょうか。
この問いは、AIで記事を作る人なら、いずれ必ず向き合うことになると思います。
AIは「もっともらしい文章」を書く
最近の生成AIは、本当に自然な文章を書きます。
構成も整っていますし、要点も分かりやすくまとめてくれます。
だからこそ、AIが書いた文章を読んでいると、
「この内容もきっと正しいのだろう」
と思ってしまうことがあります。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
読みやすい文章と、正しい情報は別です。
私たちが止まったのは、「AIが間違えた」からではありません
現在制作中の『雪の女王』の記事では、AIがさまざまな切り口や関連テーマを提案してくれました。
その中には、「宮崎駿作品との共通点」のように興味深いアイデアもありました。
しかし、それを記事に書くには、本当に根拠があるのかを確認する必要があります。
実際、そのような提案については、「ここは確認が必要」と判断し、保留にしました。
また、作品のテーマをさらに深掘りする提案もありました。
けれども、それは原作を十分に読み込み、作品そのものを議論した上で初めて扱える内容です。
今回は、そこまでの確認ができていなかったため採用を見送りました。
私たちが感じたのは、AIが間違えたということではありません。
確認が必要な領域は、自動化できない。
それが、実際に編集を進める中で見えてきた課題でした。
AIはWebを参照できても、それだけでは足りない
最近のAIは、外部の情報を参照できる場面も増えています。
しかし、その多くはオンラインで公開されている情報です。
一方で、私たちが扱おうとしているテーマには、
- 書籍
- 古典文学
- 心理学の理論
- 専門書
など、Webだけでは確認できない情報も数多くあります。
こうした記事では、人間が資料を確認しながら編集を進める必要があります。
AIは文章を書くことはできます。
しかし、「その本には本当にそう書かれているのか」までは、人間が確認しなければなりません。
ファクトチェックは、書籍だけではありません
今回、もう一つ印象的だったことがあります。
それは、この「AI共同編集日誌」の制作そのものです。
編集会議の内容を記事にまとめる中で、AIは何度か、まだ編集部で決まっていないことを「決定事項」のように文章へ補完してしまいました。
また、実際には行っていない運用を、「私たちの経験」として書いてしまう場面もありました。
もちろん、悪意があったわけではありません。
文章として自然につながるよう補完した結果です。
しかし、このシリーズは「実際に編集部で起きたこと」を記録する日誌です。
そのため、外部の事実だけでなく、「この編集部で本当に起きたこと」も、一つひとつ確認する必要がありました。
私たちにとっては、この種類のファクトチェックの方が、むしろ重要だったのです。
正確な記事ほど、自動化は難しくなる
AIを導入すれば、記事制作はもっと速くなると思っていました。
実際、文章を書く時間は大きく短縮されています。
しかし、正確性を重視する記事では、確認作業はほとんど短縮されません。
むしろ、
- 書籍を確認する。
- 出典を確認する。
- 編集会議で実際に決まった内容を確認する。
こうした工程が増えるほど、自動化だけでは対応できなくなります。
記事の正確性を高めようとするほど、人間による確認作業の比重も大きくなる。
これは、AI共同編集部が実際に体験したことでした。
AI共同編集部メモ
今回の編集会議では、ファクトチェックが単なる確認作業ではなく、AI時代の記事制作における大きな課題であることを共有しました。
特に、書籍や理論を扱う記事、そして実体験をもとにした記事では、人間による確認作業を省略することはできません。
また、「AIが間違えるかどうか」だけではなく、「確認が必要な内容は自動化できない」という視点を持つことが重要だという認識で一致しました。
おわりに
AIで記事を書くことは、思っていたより簡単でした。
難しかったのは、「どこまでAIに任せられるか」を見極めることでした。
私たちは今、その境界線を探しながら、少しずつ編集フローを改善しています。
自動化を諦めるのではありません。
役割分担を設計することで、自動化率そのものを高めていく。
それが、AI共同編集部の現在の方針です。
次回は、ここまでの編集会議を通して見えてきた「AIと人間、それぞれが得意な仕事」について考えてみたいと思います。

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